漢方のお話



私の母親が昔から飲んでいる漢方薬があります。
センナという生薬(生薬ってのは、漢方薬を構成する植物の名称の有効成分のこと) なんですが、これは寫下、つまり排便をひきおこす作用があり、子供の頃、誤って飲んでひどい目にあったことがあります。

って、いうほろ苦い昔話はおいといて漢方薬についてです。

一つ、誤解をしている人も多いかと思うのでいっておきますが、漢方は中国の医術ではありません。確かに、その流れをうけて いますが、正確に言うと中医学(中国の医学、まんまだね。)が日本に伝わり、そこで日本独自に発達した物を漢方医学と言います。
かくいう私も以前までこの違いをはっきりとは理解しておらず、生薬学の先生に指摘をされたことがあります。
今、漢方が医学部等でも教えられ、非常に注目を浴びています。この漢方について、少しでも知識がある私がつたないですが、 説明をしていきます。

漢方医学と西洋医学の違いは、まず、西洋医学は局所的な治療を主とし、 漢方医学は体のバランスを整えるといった全体像を 診た治療を主とし、個々の患者にあった治療を行います。つまり、風邪だから解熱剤といった具合ではなく、その人の体質など にあわせて適切な漢方薬を使い分けます。

どちらがいいかはそれは病気によって様々な答えがでると思います。
例えば、外傷、つまり骨折といった疾患に対しては漢方は出る幕はありません。また、コレラなどの細菌感染症には無効です。
しかし、西洋医学において特定できない疾患に対して、漢方医学では治療を行うことができます。
一時、西洋医学に押され、漢方医が廃止されましたが、1976年に薬価基準に収載され、それからたため現在、医師の9割が 一度は使用したことがあるそうです。現在、それぐらい広がりつつある漢方に暗い影が現れました。それが、新聞等にもとりあげられた 小紫胡湯です。

漢方といえば、効きも薄いが、副作用もないと、思われていた常識が変わった有名な話です。 小紫胡湯は、肝障害特に、慢性肝炎に効果を示すとして、市場が増しました。 しかし、間質性肺炎を発病した患者が現れ、その市場は一気に急落した。
そのためか、今も小紫胡湯を怖がる人がいるが、はたしてそうでしょうか?
間質性肺炎は小紫胡湯で発症するのは、実は少なく、抗がん剤による発症率の数千分の一程度の確率なんです。 実際、漢方に詳しい医師が使えば、間質性肺炎はほとんどおこっていないそうです。つまり、間質性肺炎を 起こしてしまった患者さんは小紫胡湯が適用外であったわけです。つまり、上手に使えば副作用はないと断言したも いいのです。

薬は使い方によっては毒になる。しかし、うまく使えば良いくすりになる、ってこと。


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